バリュー平均法と資金管理

バリュー平均法と資金管理

バリュー平均法は一般的に長期で運用されることが多く、投資の頻度も年に1度や年に数回、多くても月に1度というケースが多いようです。毎日積み立ててゆく投資では圧倒的にドルコスト平均法の方がメジャーですが、私は頻繁な回数での投資においてもバリュー平均法こそが最高の投資方法であると実践の中から感じています。

今回はそのバリュー平均法と資金管理について書いてゆきます。

資金管理はリスク管理の中で最も大切

以前、リスク管理についてでも触れましたが、リスク管理の中で、最も大切なのが資金管理です。この資金管理の重要性は一般的な投資全般にもいえることですが、バリュー平均法においてはさらに重要な項目になってきます。ここをしっかりやっておかないと最大の投資局面で予定通りの行動ができない → バリュー平均法の本来のパフォーマンスが得られない。ということにもなってきます。

もっと具体的にいうと、最初の計画で欲を出しすぎて一回の投資資金が大きすぎるために下落時の大量購入を目の前にした時、あまりの投資金額の大きさにびびって投資できなくなり、その結果大きな投資チャンスを逃してしまうということがおこります。

スタートするときは、くれぐれも欲を出さずに、投資金額が小さくて面白くないと感じるくらいがちょうどよいと思います。たとえて言うなら、大地震が来ることなどめったにありませんが、ビルを建てる時に大きなビルであればあるほど震度7でも余裕で耐えらえる設計をしていなければいけません。その設計を最初からしているから本当に大地震が来ても安心できるのです。

また、別のたとえをするならば、晴れた日の穏やかな海岸を見ていると何十メートルもの大波が全く想像できないのと同じで、この穏やかな海がそこまで荒れるとは想像がつきにくいものです。

しかし沖合に出てゆくとだんだん波が高くなり、天候が悪くなると信じられないようなビルのような波が次々押し寄せてきます。その時になって準備不足を後悔しても遅いのです。その時にどんな船に乗ってどんな準備をして出てきたかが大事なのです。

バリュー平均法の資金管理もそういうものです。むしろ大きな波を利用して資金を増やすので、バリュー平均法はあえて波の高いところに出てゆくほうがパフォーマンスが上がります。なのでどんな大波が来ても耐えれる設計の船でしっかり準備して船出しないと波にのまれてしまうのです。

ドルコスト平均法とバリュー平均法の違い

ドルコスト平均法とバリュー平均法との違いは、過去にもバリュー平均法のパフォーマンスなどでお話してきましたので過去記事を見ていただければいいと思いますが、リスク管理の上において決定的に違うのは、ドルコスト平均法は一回の投資金額が一定なのに対して、バリュー平均法は一回の投資金額が一定ではないということです。

言い換えれば下落時にドルコスト平均法以上に購入するので反転上昇した時のパフォーマンスは上がりますが、リスクも大きくなるということです。なので、ドルコスト平均法とちがって資金管理が大切になります。

しかも急落した時には「本当にこんな金額買うのか!」と目を疑うような購入のこともあります。その時落ち着いて計画通りに淡々と買い進めることができるのか、それとも躊躇して投資をストップするのか。このたった一日の投資が将来の大きな分かれ道になります。この時に躊躇せずに買い進めることができる資金管理が必要なのです。

具体的にはどれくらいの購入が提示されるのか

バリュー平均法はあらかじめ定めたバリューパスに応じて、今日の購入金額がエクセルの計算式で提示されてきます。では、具体的にどれくらいの金額が提示されてくるのか、約一年間毎日投資した私の経験では次のような注文がありました。

  • イーサリアム バリューパス¥15,000/日に対し¥442,440 301日目
  • SOXL バリューパス$100/日に対し$2,984 208日目
  • TECL バリューパス$150/日に対し$3,521 227日目

いかがでしょうか。もうバリュー平均法などやめておこうと思われた方もいるかもしれません。一回の購入額にこんな数字が提示されると確かにビビります。大切なことはこの異常な数値がいつまででも続くわけではないことです。急落の瞬間一時的に提示されるのです。この時、資金管理をしっかりやっていれば恐れずにバーゲンセールとして冷静に買い向かうことができます。

バリュー平均法は無限ナンピンではありません。この購入額が毎回続くわけではありません。あくまでもこれは瞬間的な数字です。(ただしノーセルバリュー平均法は無限ナンピンに近くなってしまいますのでご注意ください)

では実際にどれくらいの資金が必要になるのか

現在バリュー平均法毎日投資を始めてから約一年になりますが、けっこう下落がきつい一年になりました。下落リスクを検証するには非常に有意義な一年だったと思います。現在のパフォーマンスが悪いものから順に見ると次のとおりです。

  • SOXL 現在のバリューパス$16,654に対して$34,809投資 2.09倍
  • TMF 現在のバリューパス$22,820に対して$42,195投資 1.85倍
  • NUGT 現在のバリューパス$14,232に対して$25,055投資 1.76倍

このように見てみると、バリューパスの約2倍ほどの余裕資金を用意していれば何とかついていけそうですが、気持ち的な余裕をみれば、2.5倍以上はみておいた方がよさそうです。

単発的には1回の投資金額が、予定の30倍近くの時もあり、とんでもなく恐ろしい投資のように感じる時もありますが、長い目で見ると、下落相場にあっても予算(バリューパス)の2倍程度で収まっていることが分かります。

最終的にはバリューパスに近づいてゆく

ずっと下落が続くと、どんどん投資金額が増えて恐ろしくなってくることがあります。バリュー平均法はドルコスト平均法と比べて投資金額が一定ではありません。下落時にはドルコスト平均法では考えられないくらいたくさん投資することがあります。それは、言い換えればチャンスに思い切って投資し、保有銘柄の購入単価を大きく下げる効果があります。

だれもが下がった時には大きく買いたいと思いますが、それがいつなのか、どれくらい買うのか、テクニカル指標に頼ると高度なスキルと熟練を要することになります。まして、大底などどれだけ熟練しても誰にもわかりません。

その部分を計算式によって導いてくれるのが、バリュー平均法です。バリューパスは最初から設定されていますので、投資金額はやがていつかはバリューパスに近づいてゆくように動いてゆきます。

このバリューパスがあることによってテクニカル指標もファンダメンタルズも気にすることなく平常心で投資し続けることができるのです。

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