バリュー平均法のパフォーマンス

バリュー平均法は視点がドルコスト平均法の正反対になります。では、バリュー平均法とドルコスト平均法のどちらがパフォーマンスは上なのでしょうか。その前に、バリュー平均法の性質、クセというものを大まかにつかんでおく必要がありますのでバリュー平均法のパフォーマンスについて解説してゆきます。

バリュー平均法の1,000%は・・・

ドルコスト平均法や、一括投資などほとんどの投資においてパフォーマンスはどれだけ残高が増えたのかを意味します。株の世界でよく「テンバガー」とか言われますが、100万円投資して1,000%のパフォーマンスだと1,000万円に増えていることになります。一括投資においても、投資方法こそ違いますが、この成果%の考え方は変わりません。

けれども、バリュー平均法の世界では1,000%のパフォーマンスとは100万円が1,000万円になることではありません。100万円の評価になるのに投資した金額が最終的に10万円だった。という場合に1000%のパフォーマンスになります。

同じ1,000%のパフォーマンスでも、かたや収益が900万円、そしてバリュー平均法では90万円。なんと金額に直すと10倍も違うじゃないか! と思ってしまいます。これでは効率が悪すぎる。ややこしい上に効率が悪い、「これはやめた方がよさそうだな」と思うのも無理ありません。

けれども、ちょっと待ってください。バリュー平均法は本当に効率が悪いのでしょうか?これは単に物事を見る角度の違いだけで、もしかすると実はそれほど効率が悪い投資法ではないかもしれません。

パフォーマンスの違いをグラフ化すると

ドルコスト平均法とバリュー平均法をグラフにするとこのようになります。

ドルコスト平均法

これが一般的なドルコスト平均法のパフォーマンスグラフで、このように累積投資額は一定に直線で増えてゆき、パフォーマンスが良いときには評価額が累積投資額よりも多く推移します。

これに対してバリュー平均法のパフォーマンスはこのようになります。

バリュー平均法

ドルコスト平均法と比べて逆になっているのがわかります。評価額に合わせて投資してゆきますので、評価額は一定の直線で増えてゆきますが、この累積投資額の部分がパフォーマンスになります。この2つのグラフは全く同じ投資対象と期間なのですが、バリュー平均法では、評価額と比べて累積投資額が少ないほどパフォーマンスはよくなります。

バリュー平均法は根本的に視点を変えないといけない

大昔の人は、あたりまえのように「地球の周りを太陽が回っている」と思ってましたが、今では「太陽の周りを地球が回っている」ことは当たり前の事実になっています。しかし、目で見える世界ではどうしても太陽の方が動いているようにしか見えません。

バリュー平均法でも、この視点の転換が求められます。上の図でパフォーマンスが悪そうに見えるのはあくまでも従来の視点でパフォーマンスを見た場合です。

では、別の視点からバリュー平均法のパフォーマンスを見てみましょう。2017年1月から2021年12月まで毎月50,000円をSPXLというETFに投資した場合です。

まずドルコスト平均法ですが

  • 投資金額:2,829,972円
  • 評価額 :7,814,664円
  • 収益  :4,984,692円
  • 保有口数:540

次にバリュー平均法です。

  • 投資金額:1,127,986円
  • 評価額 :2,995,621円
  • 収益  :1,867,635円
  • 保有口数:207

確かに、これだけ見ると圧倒的にドルコスト平均法が上回っています。しかしバリュー平均法は途中で ”売却” します。この売却益が 2,366,803円別にあるのです。含み益と合計すると、4,232,438円になります。

それでもまだ、ドルコスト平均法の方が収益額は上です。ただ、大きく違うのが収益の内訳です。ドルコスト平均法の収益は全てが含みなので、540口分全てポジションに使われています。

これに対してバリュー平均法の売却益は、確定収益なので何にでも使えるのです。他のものに投資してもいいですし、余裕資金として置いていてもいいですし、SPXLに時期をずらして再投資してもいい。要は選択肢が増えるのです。

この例の場合、 2021年12月時点で既に収益確定額は現在持っているポジションの累積投資額を超えていますが、このまま ”売却益” が増え続けて、確定収益が評価額を超えてしまえば、新規購入せずに放置するのもありです。そうすればこの ”保有ポジションユニット” は既に投資金額を全て引き出しているのと同じで、損することがないユニットになります。

こういうことができるのも、バリュー平均法の大きな特徴の一つです。

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