NUGT金鉱株ETFとバリュー平均法 その1

NUGT金鉱株ETFとバリュー平均法その1

今回は今までの投資の常識が根本から覆るようなシミュレーションについての内容です。今回のようなシミュレーションはネット上でももちろん見かけたことはありませんし、その結果に大変な驚きと興奮を覚えずにはいられませんでした。もしかしたらシミュレーションの計算式が間違っているのではないかと思い、何度も確認しました。その驚きのシミュレーション結果を何回かに分けて解説いたします。

NUGT 金鉱株ブル2倍ETFについて

この金鉱株ETFは2010年12月8日に設定され、もう10年以上も取引されているレバレッジ型のETFになります。2020年3月5日に167ドルだったのが、コロナショックの影響により3月16日に26ドルにまで下落します。そして2020年4月1日から3倍だったレバレッジが2倍に変更されてしまいます。

急落直後の3倍→2倍変更というのは、もしポジションを持っていたら最悪の状況かもしれませんが、今後は2倍より下がることはないでしょう。できれば3倍に復活してほしいですが。
NUGTの構成銘柄は下記のとおりです。

  1. ニューモント 16.69%
  2. バリックゴールド 11.40%
  3. フランコネバダ 8.92%
  4. ウィートンプレシャスメタルズ 6.52%
  5. ニュークレストマイニング 4.91%
  6. アグニコイーグルマインズ 4.39% 
  7. カークランドレイクゴールド 3.73%
  8. ゴールドフィールズ 3.29%
  9. アングロゴールドアシャンティ 2.95%
  10. ノーザンスターリソース 2.69%

となっています。

GDX ヴァンエック金鉱株ETFとの比較

同じ金鉱株ETFでレバレッジをかけていないETFにGDXというのがあります。一般的には金鉱株ETFと言えば、GDXの方がメジャーになります。GDXJという中小型の金鉱株ETFもありますがNUGTはどちらかというとGDXよりはマイナーなレバレッジ型ETFになります。

GDXの構成銘柄ですが、

  1. ニューモント 16.76%
  2. バリックゴールド 12.82%
  3. フランコネバダ 8.87%
  4. アグニコイーグルマインズ 7.91% 
  5. ウィートンプレシャスメタルズ 6.16%
  6. ニュークレストマイニング 4.45%
  7. ゴールドフィールズ 3.52%
  8. アングロゴールドアシャンティ 2.88%
  9. 紫金鉱業集団 2.70%
  10. ノーザンスターリソース 2.50%

となっています。NUGTとは多少の違いはあるものの、どれも金鉱株であることには変わりませんのでそれほど大きな差はありません。

同じ期間の値動きを比べてみます

では、それぞれの同じ期間の値動きを比べてみます。上がNUGT、下がGDXの2016年7月1日から2022年2月1日までのチャートです。

NUGT2016年7月1日~2022年2月1日
GDX2016年7月1日~2022年2月1日

同じ金鉱株ETFのチャートなのに全く動きが違います。GDXは上下動を繰り返しながら、28.5→30.55とわずかですがこの期間の価格が値上がりしていますが、NUGTはレバレッジETFの宿命か、大幅に下落しています。549.04→45.89と1/10以下になっています。現物価格から、かなり乖離した動きをしていて、まさに「絶対に手を出してはいけない」ETFのお手本のように見えます。

パフォーマンスを比べてみると・・・

さてこの2つのETFに同じ条件で同じ期間バリュー平均法で投資したシミュレーションをします。どちらもバリューパスは10,000円/日、レートは110円として計算してみます。期間はどちらも2016年7月1日から2022年2月1日まで始値で投資したとします。 その結果は次の通りです。

NUGT

  • 累積購入数:25,684口
  • 累積売却数:22,897口
  • 累積投資額:15.299,190円 
  • 評価額:25,640,513円
  • 収益額:10,341,324円
  • 収益率:67.6%

GDX

  • 累積購入数:28,336口
  • 累積売却数:24,149口
  • 累積投資額:15.079,789円 
  • 評価額:20,310,167円
  • 収益額:5,290,377円
  • 収益率:35.2%

なんと、収益額は2倍近く差が開きました

チャートからすると、どう見てもGDXの方が収益は高そうなのですが、結果は明らかにNUGTの方が高パフォーマンスを出しています。しかも倍近くの収益が上がっています。このチャートの形状からするとすぐには考えられないことです。

詳しく見てゆくと、購入と売却の額に大きな違いがあることがわかりました。どちらもバリューパスは同じなので、予定している投資金額は変わりません。実際の購入口数もそれほど大きくは変わりませんし、最終的な累積の投資金額もそれほど変わりません。決定的に違うのは購入と売却の額の大きさです。

GDX  総購入金額:86,405,949円、総売却金額:78,025,912円なのに対して、
NUGT  総購入金額:198,570,973円、総売却金額:194,843,800円になっています。

総売却益が GDX:6,239,753円なのに対し、NUGT:11,572,016円になり、この差が結果的に収益額の差に大きく貢献しています。

結論 レバレッジETFはバリュー平均法で攻めるに限る!

実はこの売却益は、バリュー平均法の大きなアドバンテージです。売却はバリュー平均法のマイナス部分だと思われがちですが、多くは、その売却部分を「待機資金」として一括していて、売却益と売却損とに分けて考えることが少ないようです。

バリュー平均法では売買を繰り返しますが、保有ポジションの平均単価が市場よりも高い時に売却が起こると売却損が出ますし、保有ポジションの平均単価が市場よりも低い時に売却が起こると売却益が出ます。

このように同じ「売却」という状態が起こっても損する場合と利益になる場合とが生まれます。この売却損と売却益の差をしっかり計算すると「売却益」が明確になり、どういう場合に売却益が増えるのかも知っておく必要があります。売却益はバリュー平均法のパフォーマンスに大きく貢献します。バリュー平均法のパフォーマンスは、含み益と売却益の両方で見る必要があります。

レバレッジETFは価格変動が大きいため、今回のNUGTのように売却益だけで10,000,000を超える場合もあります。残念ながら今回のNUGTの保有ポジションに関してはさすがに含み損の状態で-1,230,692円ですが、売却益の11,572,016円が含み損のマイナスをはるかに超えるので、このパフォーマンスになっているのです。

世間では、レバレッジETFには手を出すべきではないとか、レバレッジETFは素人が手を出すために作られたものだとか、プロ向けの商品で絶対に長期でやってはいけないという人もいますが、それはバリュー平均法を知らない人が言っているだけです。バリュー平均法で投資することによって今までの投資とは全く世界が変わってきます。

では、もっと長期でやった場合どうなるのか? このシミュレーションをあらためて次回以降に公開してゆきます。

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