自己管理について

自己管理につてい

投資をやっていくにあたって自分自身が心掛けていること、大切だと思っていることを書いてゆきます。今回は自己管理についてです。

リスク管理と共に大切な自己管理

以前リスク管理について書きました。リスク管理と並んで大切なものに自己管理があります。投資に費やす時間管理、投資ルールの徹底、ツールの整理などいろいろありますが、自己管理の中で最も大切なのがメンタルです。これはバリュー平均法だけでなくすべての投資にあてはまることですが、バリュー平均法においては特に重要になります。

投資の世界は厳しい世界です。90%以上の人が損をしているということもよく言われますが、これはある意味メンタルの弱さの故に起こることです。人がこぞってやっていることは乗り遅れまいという気持ちになり、周りのだれもが反対していることはやりたくない。それは人間の心理としてごく当たり前のことです。しかし、投資においては、この精神状態をコントロールできないと損をしてしまいます。

理屈ではわかっているプロスペクト理論

投資に負ける心理でよく引き合いに出されるのがプロスペクト理論です。A、確実に100万円もらえるのと、B、50%の確率で200万円もらえるのでは、多くの人がAを選びますが、200万円の負債がある状況下ではBを選ぶ人が多いというものです。

これは、利益が出たらできるだけ早く利益を確定したい。その反対に損失が出たらリスクを冒してでも損失を帳消しにしたい。という気持ちにつながることから損小利大の原則に人の心理が反していることを表しています。ですので、価格が上がるか下がるかの確率は五分五分ですが、ポジションを持った時の心理状態が五分五分ではないため投資で損をする確率のほうが高いということになります。

感情をコントロールするのは簡単ではない

私もFXをやっていた初期の頃、もともと短期トレードは嫌いなので、含み損を前提とした中長期のトレードを主体でやっていました。その中で何度も経験したことがあるのが、大底でポジションを切ってしまうという失敗です。何度もこれを繰り返して、もう少し耐えよう、もう少し耐えようと我慢していよいよ、さすがにこれはもうダメだと顔面蒼白になるほどの急落でポジションを落とした時、そこからするすると反転して結果的に大底で切ってしまったという経験です。

また反対に買う予定がなかった銘柄がどんどん高騰して、連日高値更新して、これは買わないと乗り遅れると成行であわてて飛びついて買ったらそこから急落して結果的に上ヒゲの部分でポジションを持ってしまったということもあります。

今から思えばこのバカな経験も貴重な体験だったと分かるのですが、感情でトレードするとこうなってしまいます。そして、明確なルールを決めない限り何度もルールを途中でいじって変更することを繰り返してしまいます。ルールを決めてもそのルールを守れず、最終的に感情でトレードしてしまうと、損失とルールを守れなかった両方の落ち込みでもう投資には向いていないからやめようと思ってしまうこともありました。

それくらい、たとえルールを決めたとしても、そのルールを貫くことは簡単なことではありませんでした。

決めたルールをしっかり検証する

自分の過去を振り返って、なぜいったん決めたルールを途中で変更したのか、それはあらゆることを想定した検証がまだまだ足りなかったことが原因だと思ってます。最初はいい結果ばかりをイメージしてあまり悪いことなど考えたくありません。そしてその悪いことが起こった時の想定が足りなかったために、実際に想定以上の悪いことが起こって狼狽してしまったのです。

歴史上の最悪の事態はもちろん、それ以上のことが起こった時に、本当にその中に身を置いてどう対応するのか、追加資金はいくらまで入れるのか、その追加資金が無くなった時どうするのか、最後の最後は塩漬けなのか損切なのか、失敗の苦い経験を繰り返した後、何度も何度も時間をかけて最悪の事態をシミュレーションするように慎重になりました。

シミュレーションもただ計算するだけでなく、より現実的イメージでのシミュレーションが必要です。たとえば50%下がったら100万円の追加資金を投入するというプランを立てていたとします。しかし、現実に本当に50%下がった時に100万円の追加資金を投入することが怖くなって損切をしてしまうというものです。これも過去に経験しました。実際に下がったポジションを抱えるのと机上で計算するのとはバンジージャンプを飛ぶのと横で見ているのと同じくらいの差があることも経験して初めてわかることです

なので、できるだけ、口座残高の減り具合、その時の世間のマイナスニュースの騒がれ具合、その含み損を抱えながらもタイミング悪く本業が苦しくなった場合、その時の自分自身の心の強さなどあらゆる事態を具体的にシミュレーションするようにしています。そうやって慎重に何度も何度もシミュレーションしてから投資計画を決めてゆくと、何度もシミュレーションしてトレーニングしてきたという自信によって、実際の下落時に冷静になることができ、メンタルが少しずつつ強くなってきました。

バリュー平均法とメンタル

バリュー平均法においては、下落時はむしろ仕込み時なので含み損に耐えることは大前提になります。その時にバリューパスという命綱が大きなメンタルの支えになります。やみくもに大量の金額を投資しているのではなくて、下落時に一時的に大量注文をすることはありますが、それは感情的な注文ではなくて大量注文ではあるけれどもバリューパスに基づいて計算された額を注文しているのだという安心感はとても大きいです。

なのでバリュー平均法においてはこの最初のバリューパスの設定が非常に重要になってきます。このバリューパスの設定を自分自身のメンタルや資金計画にあわせて慎重につくっておかないと途中で何度もバリューバスを変更して結果的に裁量取引と変わらなくなって命綱としての役割を果たさなくなってしまいます。

この時最も大切になるのが「欲張らない計画を立てる」ということです。

欲をどれだけ抑え続けることができるのか

「もっとたくさん儲けたい」と思うのは誰も同じですが、投資で最も大切なのは収益を出すことよりも損失を抑えることです。世間には勝率99%とか、年間200%成長とか、ネット上にはいろんな言葉が飛び交っていますが、株式の平均年利は5%という現実をあらためて認識することが大切です。

バリュー平均法の場合、平均年利はおそらく5%よりは多くなると思いますが、一般的に年20%の収益を出し続けることは、かなりハイリスクで、難しいという現実をまず常識として分かったうえで投資計画を立ててゆくことが大切です。

仮に年5%の収益だと「72の法則」で計算すると2倍になるのに15年かかります。バリュー平均法だとおそらく15年はかからないと思いますが、仮に15年かかるとすれば、その15年間の中には急落もあります。大切なのは2倍が目標ならば、2倍になるまで退場せずに続けることです。欲を抑えることは簡単ではありませんが、結果的には欲を出さないことが長続きに繋がり、長続きして時間を味方にすることが確実な投資結果をもたらすことに繋がってゆくと思います。

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