バリュー平均法は計算がややこしい、わずらわしいとよく言われます。たしかにややこしいですが、最初にエクセルで計算表を作ってしまえばあとはそこに数字を入れるだけです。私は煩わしさ以上にバリュー平均法には大きな魅力があると感じています。今回はバリュー平均法の基本的部分の計算式をエクセルで作る方法を詳しく書いていきます。
目次
最初に必要な項目の設定
バリューパスは、毎回¥10ずつ増加してゆく設定にします。
- 日付:取引の日付です。今回は仮に12月1日から毎日始めることにします。
- 価格:投資対象の価格です。今回は¥で表示します。
- バリューパス:投資結果の金額です。単位は¥です。一定で増えてゆきます。
- 購入数:バリューパスに対して現在価格で買える投資対象の口数
- 投資金額:価格×購入口数
最初の日はこのように簡単です。これを表にすると次のようになります。黄色は新しく計算式を加えたセルになります。
2回目から項目が少し増えます
2回目の購入時です。この日は価格が昨日の¥10から一気に¥4まで下がったとします。
2回目から計算のため増える項目があります。合計で3項目増えます。増えた項目を含めて順番に説明していきます。
1 日付と価格
ここは前回と特に変わりません。仮に毎日投資するとして翌日にしています。そして価格は本日は¥4まで下がっています。
2 バリューパス
バリューパス(バリュー経路とも言います)は最初に増え方を設定するので規則的に増えてゆきます。ここでは¥10ずつ増えるように設定しているので今回は¥20になります。ドルコスト平均法の投資金額と違って、バリュー平均法の場合は投資結果の金額がバリューパスになります。現在¥4のものをいくら持っていれば合計¥20になるのか。その投資結果の金額¥20がバリューパスです。
3 購入前の評価額
投資結果が¥20になるために事前の計算をします。今保有しているものが今日の時価総額でいくらになっているのかを計算します。今回は大きく価格が下がって¥4になっていますので、保有している1口も買ったときは¥10でしたが、現在は¥4になってしまっています。なので「購入前の評価額」は¥4になります。
4 バリューパスとの差額
バリューパスと購入前の評価額を比較してその差額を求めます。今回は¥20円のバリューパスに対して購入前の評価額が¥4ですのでバリューパスとの差額は¥16になります。
5 購入数
バリューパスとの差額と現在の価格を比較して購入数を決めます。今回は、たまたまちょうど割り切れますが、これは端数を切り上げでも切り下げでも四捨五入でもなんでも構いません。大切なことは毎日同じルールを適用することなので、割り切れない場合のルールが決まっていれば切り上げ切り下げなどの細かいことは別にどちらでもかまいません。
6 投資金額
今回の購入口数が決まればあとは、価格×購入口数で自動的に投資金額が決まります。
7 累積口数
前回購入している分に加えて今回購入した口数を合計してゆきます。通常は加算されてゆきますが、バリュー平均法では時々売却があります。売却した時は累積口数は減ることになります。あくまでも今現在保有している口数が表示されます。
2回目の取引を表にすると次のようになります。黄色の部分は新しく追加した計算式が入っているセルです。投資金額の部分は前回に計算式が入ったので1回目と同じ計算式が入っているセルになります。
翌日の購入数を知るには式をコピーするだけです
3回目に再び価格が¥10円にもどったとします。バリューパスは毎日¥10ずつ増えるので¥30です。
ここから先は前日の計算式をコピーするだけです。前日の「購入前の評価額から累積口数まで」を選択します。
そしてコピーして12月3日のところに張り付けるだけです。普通にコピーペーストすると計算式がコピーして貼り付けられます。
売却があっても自動で計算してくれます
この時初めての売却が起こります。計算式は2日目と同じ内容です。
- 日付:3回目の取引日
- 価格:¥10にもどりました。
- バリューパス:毎回¥10ずつ増えるので今回は¥30です。
- 購入前の評価額:価格が¥10になったので5口×¥10で一気に¥50にあがりました。
- バリューパスとの差額:バリューパスは¥30なので¥-20になってマイナスが出ています。
- 購入数:-2口になりますので2口の売却です。
- 投資金額:売却により戻ってきますので¥-20になります。
- 累積口数:2口減って3口になりました。
オートフィル機能で式を自動入力できます
バックテストなどで一度に購入数やパフォーマンスを知りたい場合は、日付と価格を先に入力すればあとはオートフィル機能で式を自動で入力できます。「バリューパスから累積口数まで」の計算式をコピーするだけです。今回は練習なので7日分の日付と価格を入れてみました。
次に直近のバリューパスから累積口数までの2行を選択します。(1行だけの選択だとバリューパスが¥1ずつの増加になってしまいます)「この2行には同じ計算式が入っていますので選択すると下の図のように色が濃くなります。
あとは赤丸の部分が細い+印になれば、そこを12月10日の部分まで引っ張ってきます。+の部分をダブルクリックしても構いません。すると価格に合わせた取引内容が自動的に計算されてゆきます。
これで簡単ではありますがバリュー平均法の取引結果が完成します。
バリュー平均法ならではの結果 ”原価0円”
ちなみにこの例題の結果ですが、購入数をすべて合計すると8口保有しています。ところが投資金額を合計するとちょうど¥0になります。バリュー平均法ではこういうことが起こります。12月1日から12月10日まで最終的には¥2上がっただけですが、その間の上下による売買のために収益が積み重なり結果的にタダで8口持っていることになりました。
ドルコスト平均法やほかの方法ではありえないことですが、これで原価が0のポジションを8口持っていることになります。このまま翌日からもバリュー平均法の投資を続けてもいいですし、この口座の8口を永久に置いておけば、もうこの口座では損することがありません。この8口の価格が伸びた分、口座残高すべての金額が収益になります。
1 件のコメント
Very well presented. Every quote was awesome and thanks for sharing the content. Keep sharing and keep motivating others.