バリュー平均法に欠かせないバリューパスって何?

バリューパスって何なの?

バリュー平均法には、バリューパス(バリュー経路)というものが出てきます。バリューパスって実は、いたって簡単なものなのですが、詳しく説明するととややこしくなって、なんだかめんどうになってきます。

例えていうなら「影」を説明するようなもので、実際に見れば、「ああこれ!」とすぐわかるのですが、「影」を説明しようとすると案外難しいものです。「太陽と反対の部分で…」とか「いや、太陽でなくても光が当たらない所にできて…」とか。

バリューパスも、おおざっぱな意味では「いくらずつ投資してゆくかという目安」でいいと思います。では、積み立て投資と何が違うのでしょうか。

ドルコスト平均法のおさらい

積み立て投資というと誰もがわかるのですが、ドルコスト平均法というと「なにそれ」となる方がいるかもしれません。でも、実際積み立て投資のほとんどが、ドルコスト平均法で行われています。アメリカが発祥なので「ドルコスト」という名前がついていますが、日本円でも内容は変わらず、同じ金額を一定期間積み立ててゆく方法です。

毎回同じ金額を投資するので、価格が下落した時にはたくさん買い、価格が上昇した時には少ししか買わないことになります。よって長い期間続けていると購入単価が一括で投資するよりも低く抑えられる。という特徴があります。

毎回の投資金額が一定で自動引き落としにも向いているので、現在積み立て投資といえばドルコスト平均法というくらい当たり前の方法になっています。

よく、一括投資とどちらがいいのかと言われますが、結果的に価格が上がっていれば一括で投資した方が効率がいいですが、価格が下がった時にはドルコスト平均法のほうがパフォーマンスは上がります。また、横ばいのレンジと言われる状況下でも一括投資よりもドルコスト平均法の方がパフォーマンスがよくなります。

バリュー平均法はドルコスト平均法の正反対

さて、本題のバリュー平均法ですが、これはまさにドルコスト平均法の逆になります。ドルコスト平均法は投資金額は明確ですが、投資結果はわかりません。例えば、毎月1万円を1年間ドルコスト平均法で投資すれば、投資金額は12万円です。けれど、投資結果は15万円に増えているのか、10万円に減っているのかわかりません。

バリュー平均法では、投資結果は、ほぼ明確で12万円です。多少の誤差はありますが、11万円以下になったり13万円以上になることはまずありません。バリュー平均法の場合、わからないのは投資金額のほうです。1年後に12万円の投資結果を得る為にいくら使ったのか。15万円だったのか、10万円だったのか1年後でないとわかりません。

このように、バリュー平均法の場合、発想が全く逆になります。この逆の発想がなかなかつかみにくく、最初は頭がついてゆきにくいのです。私も理解するのに時間がかかりました。

毎回の積み立ても正反対

投資結果の基準が正反対なら、毎回の積み立ても正反対になります。例えば先ほどの例でいえば、ドルコスト平均法の場合、毎月の積み立て金額は1万円で明確です。ただ、何口買うのかはわかりません。1万円で買える分だけ買うことになります。これに対してバリュー平均法の場合は、投資結果が1万円になるように買います。なので口数はその価格によっておのずと決まってきますが、そこにいくら投資するのかがわかりません。

この「いくら投資するかわからない」という部分が気持ち悪いのもバリュー平均法がメジャーになっていない理由の一つだと思います。

そして、ドルコスト平均法には絶対にない概念が、「場合によっては売ることもある」ということです。積み立てなのに売ります。投資対象が急激に上昇した場合、含み益がたくさん出て、次回の投資金額を十分満たすほどの含み益が出たときに余った分の金額を売却します。

この ”売却” という部分が、積み立てなのになぜ?と、この場合も普通の投資感覚だと気持ち悪くて、何か損しているように思えて積極的になる人が少ない理由の一つかもしれません。

バリューパスの役割

以上のようにバリュー平均法では買った後の金額に合わせてゆくので、その都度いくら投資するのか判断しなければなりません。その際の基準 ”モノサシ” になるのがバリューパスです。バリューパスを基準にきっちりと必要金額を計算して、その金額を投資することになります。ドルコスト平均法では買う金額が一定なので自動的に買える口数が決まりますが、バリュー平均法では、買われた金額を揃えるために今回はいくら買うという口数を買う前に計算する必要があり、その計算に必要なのがバリューパスなのです。

ネットをググっていると複雑なバリューパスを設定している方が出てきたり、年〇%アップとか曲線になるようなバリューパスを設定したり、中には関数を使って計算したりとか、結果的にはどんなバリューパスでも自由なのですが、単純に「毎回いくら」で十分です。ドルコスト平均法でも複雑なプランを考えていない人がほとんどなのと同じです。

もともとバリュー平均法はハーバード大学元教授のマイケル・エデルソンという学者さんが考え出されたようで学問的に取り上げられているところが多いです。なので海外のサイトなどいろいろ難しそうなことも言われていますが、私自身実際にエクセルでなんどもシミュレーションしましたが、単純な直線のバリューパスが一番いいパフォーマンスでした。

バリューパスは厳密でなくてもいい

じゃあこのバリューパスの設定をどうやって決めるのか、悩みそうなものですが、そこはある意味適当でも大丈夫です。途中で変更もできます。実際に私も何度か変更しています。積み立て投資をするときに、「毎回いくらずつしようかな」と決めると思いますが、単純にその感覚だけで大丈夫です。「毎回いくらになるようにしようかな」の違いだけです。つまり、購入前金額をそろえるのか、購入後金額をそろえるのかの違いだけです。

バリューパスは途中変更しても、車のナビゲーション同様、その地点からの修正された数字を返してくれます。ただ、あまり頻繁に変更するのは避けたほうがいいと思います。頻度に関しても、何回か飛んだり、抜けたりしても影響はありません。回数とそのときの価格によって買う金額が決まってきますが、時間的要素は関係ありません。私も4時間足で実験していたときに 8:00 12:00  16:00 20:00 0:00 の5回買っていましたが、夜中の 4:00はとばしています。決して「毎月と決めたから毎月欠かさずにしないといけない」ということはないのです。

ただ、できるだけ避けたいのが、暴落真っ最中のバリューパス変更です。暴落時にあまりにもたくさんの購入額が提示されてびびってやめてしまうとか、含み損をたくさん抱えた状態で耐えかねてバリューパスを減額してしまうとか、誰もが遭遇する、きわめてありがちなケースかもしれませんが、これはパフォーマンスを大きく落とすことになりますので、こうならないよう事前にしっかり計画して暴落時は何もいじらないようにすることが一番パフォーマンスが上がります。

実際は、このあたりのことが非常に重要で、けれどもたいへんありがちなことなので、まさにここがバリュー平均法は中級者向きと言われる部分かと思います。このことはまた別のところで詳しく書いてゆきます。

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